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第17回XBRL国際会議参加レポート
5月5日から8日の間、オランダ アイントホーフェンに於いて開催された、第17回XBRL国際大会についてご報告します。
今回の大会は、Het Nederland Taxonomy Project(オランダ政府が主導するオランダ国家タクソノミープロジェクト)との合同開催でした。
会場はオランダ アイントホーフェン EVOLUO で、アイントホーフェンは、アムステルダム・スキポール空港より電車で1時間半程の場所にある地方都市です。オランダの電気メーカー・フィリップス社発祥の地として知られています。EVOLUOは35年前にフィリップス社の展示館として建設された施設ですが、現在は国際会議場として使用されています
参加者は、公式発表で37カ国280名でした。日本からの主な主な参加者は、金融庁総務企画局開示業務参事官小林利典氏及び武田専門官、日本銀行金融機構局金融データ管理統括和田芳明氏、東京証券取引所上場部課長吉田幸司氏、宝印刷、プロネクサス、新日本監査法人、富士通総研、富士通、日立製作所、NTTデータ、NTTデータシステムズ、ジャストシステム、日本オラクルから約20名が参加しました。日本からの発表内容です。
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1.Japan FSA's XBRL Project - Launch of a New Public Disclosure System with Mandatory XBRL
講演者:金融庁総務企画局開示業務参事官小林利典氏
本年3月17日に稼動した新EDINETでは約5000の上場企業と約3000のファンドが有価証券報告書等をXBRL形式で提出することとなりました。その提出者の規模、XBRLfilingを任意制ではなく義務化したこと、また提出されたXBRLデータは誰でも利用できるオープンなものとしたことという特徴から、現時点では世界の中でもっとも進んだXBRLシステムとなっています。この講演ではこの新EDINETの概要と、「見る開示情報から見る開示情報」へのパラダイムシフトといったXBRL化の意義が紹介されました。また、XBRL対応の義務化に向けて金融庁と産業界等関係者との間でどのような協議、調整が行われてきたのか、タクソノミーの作成はどのような考え方と手法で行われたのか、従来のHTMLフォーマットからXBRLへの転換に際し提出企業の課題は何か、といった諸外国も関心の深い論点についても日本の経験が語られました。さらに、今後の課題として、注記等非財務部分についてのXBRL対応の拡張、Dimensions,Versioning等の新しい技術への対応、USGAAPタクソノミー・IFRSタクソノミーとのmultinational interoperabilityの確保が挙げられ、特に最後の点についてのSEC,IASCFとの共同プロジェクトが紹介されました。
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2.Cooperation towards Multinational Interoperability (金融庁、米国SEC、IASCF、ECの共同発表)
講演者:金融庁総務企画局開示業務参事官小林利典氏
米国SEC David Blaszkowsky氏
IASCF Olivier Dervais氏
EC Piotr Madziar氏
現在、日本、米国、国際会計基準国の三極でXBRLの導入プロジェクトが推進されていますが、タクソノミーやシステムがそれぞれ独自仕様で相互接続性が確保されていなければ、例えば投資家が各国のデータを比較することが容易に出来なくなるなどの支障が生じることが懸念されます。XBRLがグローバルに広がる金融証券市場のインフラとなるためには、この三極を中心に「Multinational Interoperable Architecture」を構築することがきわめて重要です。こうした観点から日本が提唱して昨年の10月より三極の共同プロジェクトが始まりました。前回のバンクーバーでのXIIカンファレンスでプロジェクトの発足を発表し、今回のEindhovenではその後このプロジェクトがどのようなプロセスで進められているかについて報告が行われました。なお、前回バンクーバー大会の後、ECが共同プロジェクトに参加しましたので、今回は金融庁、SEC、IASCF、ECの共同発表となり、4者を代表してIASCFのServais氏がプレゼンを行いました。
発表では、このプロジェクトがそれぞれのタクソノミーについて「比較すべきポイントの識別」「現状の比較」「比較結果の評価」「調整方法の決定」のステップで進められていることが示されました。タクソノミーの比較を行い、それぞれの比較項目についてinteroperableでない場合にどのような問題が生じるか、その負のインパクトを評価し、インパクトの大きい項目からinteroperableにする手法を決定する、というこのプロセスのためにTCF(Taxonomy Comparison Framework)を作成して作業を進めていることなどが発表されました。
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2-1.EDINETタクソノミーの概略説明 「EDINET Taxonomy at a glance」
講演者:株式会社富士通総研
第3コンサルティング本部
内部統制事業部
XBRLグループ
シニア・コンサルタント
小泉 誠氏
EDINETタクソノミは日本の会計基準と開示慣行に基づき、金融庁が開発したタクソノミです。
今回の国際会議では、米国のXBRLコンソーシアムであるXBRL-USによる米国証券取引委員会のUS-GAAPタクソノミ、国際会計基準委員会財団(以下IASCF)によるIFRS2008タクソノミの説明と同じセッションの中で、EDINETタクソノミの開発範囲、業務的要件とその実装方法、タクソノミアーキテクチャ、技術的要件、EDINETにおけるXBRLベースの法令開示をサポートするための支援文書や、開発プロジェクトの体制・期間、プロセス、さらには開発にて使われたツールに関する説明が行われました。
発表後は、タクソノミ実装方式、HTMLへの表示変換方法など技術的な質疑応答が行われておりました。
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3.Security Regulators and Exchanges
パネリスト:金融庁総務企画局開示業務参事官小林利典氏
米国SEC Jeff Naumann氏
スペイン証券取引委員会 Jose-Mannuel Alonso Revilla氏
カナダ オンタリオ州証券委員会 Cameron Mclnnis氏
シンガポール会計・企業規制局
XBRLを導入している各国の証券規制当局が集まり、パネルディスカッションが行われました。それぞれの組織におけるXBRL導入の概要を説明した後、会場からの質問に答える形で進行しました。
会場からは広範な質問が出されましたが、特に日本の金融庁に対しては、XBRLfilingの義務化のためにどのような取り組みを行ったか、なぜ、円滑に義務化が進んだのか、という質問がなされました。これに対しては、EDINETの高度化に関する協議会の実務者検討会で、産業界、アナリスト、証券会社、会計士、金融商品取引所などの関係者の代表を集めてXBRL導入に関する様々な課題について議論を重ねたこと、20余の業界団体や所管省庁と情報交換をしたことなど、産業界等との緊密な連携を図ってきたことがひとつの要因である、といったやりとりがなされました。また、タクソノミーについて提出者による拡張を許容するか等タクソノミーの使用方法や、証券取引所等との連携関係などについても質問が多く、熱心な質疑応答がなされました。
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4.Latest Progress of the Bank of Japan’s XBRL Project
講演者:日本銀行金融機構局金融データ管理統括和田芳明氏
今回の発表のポイントは、(1)本年3月にリリースした預金関係報告用タクソノミの概要と導入効果、(2)タクソノミの性能向上に向けた技術的知見の整理、(3)既存のXBRLインスタンスの再利用拡大に向けたVersioning並びにFormula技術の活用可能性に関する提言、の3点。このうち、(1)については、それまで紙ベースであった報告を一気にXBRL化したこと、XBRL化に際してはFormula-linkとDimensionsを世界で初めて併用したタクソノミの開発に成功したこと、等について説明すると共に、これによって日銀内部におけるデータベース運行関連事務の大幅な効率化が実現したことにも付言しました。(2)については、バンクーバー大会で報告した内容を再度解説すると共に、新たに得られた知見として、CPUパワーとメモリーサイズがXBRLデータの処理に与える影響について整理致しました。(3)については、現在検討が進んでいるVersioning技術をFormula-linkと共に応用することで、既存インスタンスを別の目的のインスタンスに変換するプロセスが構築できるのではないか、との問題意識に立ち、一つの理論モデルとして提言したものです。会場からは多くの活発な質問が提示されたほか、海外の関係者(Walter Hamschcer, Eric Cohen, Josef Macdonaldほか)からも高い評価の声を頂きました。
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5.富士通社内でのXBRL GLの適用事例
講演者:富士通CIT株式会社 システム技術統括部XML部 部長 鈴木 利光氏
富士通は、企業内部にバラバラに保存されているビジネス情報の透明性、アクセス、標準化に対応するXBRL Global Ledger (XBRL GL) 適用プロジェクトの取り組み状況を発表しました。 企業内に乱立するシステム間のデータ形式を交換するターゲット形式として、また意味を共有のための標準の項目名を作成するプラットフォームとしてXBRL GLを利用します。XBRL GLを利用するメリットとして、(1)社内の業務アプリケーション間での特定の意味を共有するための標準項目名を作成するプラットフォームとしての利用、(2)テンプレートとしてXBRL GLを使用することによるコスト削減、(3)適用対象に対する拡張性、(4)マシン・コンシステンシを挙げています。また、XBRL GLを保存する仕組みについても言及し、ライトワンス/リードオンリーな「唯一無二のデータ」保管庫を用意し、データの保障と管理に利用するとのことです。実際の適用時には、XBRL GLを多様なシステムに適用しやすくするため、タクソノミを単一スキーマに統合する仕組みや、拡張リンクの情報を使って利用しない項目をフィルタリングする仕組みを使っているそうです。
次回開催の第18回XBRL国際会議は、10月14日より米国Washington DCで開催の予定です。ぜひご参加ください。
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